「最も〜〜なうちの1つ」って
書いてしまっていませんか?
先日、雑誌を見ていました。
本の紹介を行う記事の中で、
こんなタイトルの本が
紹介されていました。
『投資で一番大切な20の教え』
この本に、
おもわず釘付けになりました。
といっても、
内容に興味があったわけではありません。
「タイトル」に
違和感を覚えたからです。
なぜ違和感を覚えたかというと、
「一番大切」なことが「20」もあるということへの
違和感です。
20もあったら「一番」じゃないではないか、
と思ってしまうのです。
この本は翻訳本なので、
ひょっとすると
「英語」と「日本語」の
感覚の違いが原因なのかも
しれません。
実は翻訳された言葉には
本来的な日本語からすると
「違和感」のある表現が多数あります。
翻訳小説では
やたらと
「彼は」と主語を強調しています。
これも、あまり日本語っぽくないんです。
数ある違和感のなかでも、
一番高いのは次の表現です。
「彼は私が最も尊敬する人物のうちの一人です」
この言い方、
とても違和感を覚えるんです。
「最も尊敬する人物」というのは
1人のはずです。
日本語の感覚では「1人」のはずなのです。
でも、
「〜〜な人物のうちの一人」
というと「1人」ではなくなるのです。
変です。
だから私は
添削する際
日本語的でない表現の修正に
意識をおいています。
確かに
「最も尊敬する人物のうちの一人」
という言い方を日常的に言っている人もいます。
ですが、それでは
日本語の「最も」の感覚とは
ズレている気がするのです。
文章作成は
単なる「翻訳」ではありません。
日本語として違和感がないかどうかも
大事なポイントです。
おそらくは英語の最上級である
「the most 〜〜」という表現と、
日本語の「最も」という表現が完全には一致していないのが
問題でしょう。
英語の最上級は
「最も〜〜」とは言っても
「レベル」や「段階」を言っているように思います。
「最も尊敬する人物」というレベル・段階に
達した人の中での「1人」、
という感覚です。
ですが、日本語の「最も」は、
あくまで「1つ」だけなのです。
登山をする方はご存知でしょうが、
山には頂上がたくさんあるものがあります。
たとえば、北海道の大雪山(たいせつざん)を
イメージしてみてください。
大雪山はいくつもの山の集まりです。
そのため、頂上がたくさんあります。
これらの頂上の集まりが英語の最上級の
「最も」の感覚でしょう。
つまり、「最も高い場所」がたくさんあり、
そのうちの1つ、ということです。
日本語は少し違います。
日本語の場合、
大雪山を構成する山々のうち、
文字通り海抜からの標高が一番高い山を
「最も高い」と表現します。
日本語と英語でも
「最も」の感覚が違います。
文章表現の際、
英語の「最も」の感覚で日本語を書くと、
違和感があるのです。
だからこそ、
英語と日本語の感覚の違いを
意識してみてください。
「最も〜〜なうちの1つ」
という言い方は日本語っぽくない
言い方ですのでご注意くださいね!
ではまた!
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