『プリズン・ブック・クラブ』を読んで、読書会の楽しさにいま一度気付いた。

 

「刑務所内の読書会」について読書会

 

こんにちは、
作文・論文アドバイザーの
藤本研一です。

 

『プリズン・ブック・クラブ』
という本を読んでいます。

 

刑務所内の
読書会サークルに呼ばれた著者が
彼ら(その刑務所には男しかいない)と
読書を通じて対話し合うという
ノンフィクションです。

 

仲間と行っている読書会の
次回のテーマ本として選ばれた本。

 

トータル445ページという
分厚い本。

 

読書会には
読んでいなくても参加可能ですが、
「主催」なので
なんとしても読んでいます。

 

現在、
ちょっとずつ読み進めています。

 

「刑務所内の読書会に来ませんか?」

 

著者アン・ウォームズリーさん。

彼女は
帰宅途中に暴漢2名に襲われた経験があります。

今もなお、
苦しみ続けています。
トラウマを持っているのです。

 

 

そんな女性ライターの
ウォームズリーさん。

 

友人のキャロルから
「ある男子刑務所で月1度開いている
読書会に来てみないか」(14頁)
と誘われます。

言われた途端、
トラウマが蘇ります。

 

パニックにもなります。

 

そりゃそうです。

 

 

 

でも、
結局引き受けることに。

 

トラウマの治療になるかも、
というキャロルのアドバイスが
大きかったのです。

 

 

著者は
毎回の本の選定を行う係になります。

 

 

 

実際に読書会を行うと。

 

想像と違い、
参加者たちは
実に深く読み取っています。

 

そのためウォームズリーは
はるばる260kmを運転して
刑務所内の読書会に参加することになるのです。

 

はじめの読書会では
『スリー・カップス・オブ・ティー』
を取り上げます。

 

カネもない登山家が
「パキスタンとアフガニスタンに
女子校を建設するという
心温まるノンフィクション」(42)。

 

『スリー・カップス・オブ・ティー』の著者は
モーテンソンです。

 

彼は
非常に持ち上げられ、
オバマ大統領も
ノーベル賞の賞金から
10万ドルの寄付をするほどです。

当然、
「この人すごいよね〜」
というオベンチャラな議論になるかと思いきや、
グレアムという囚人は
全く違う意見を出します。

「奥さんが我慢強いのはいいとしても、
家族も自分の健康も
ないがしろにしてるし
慈善団体の理事たちとの信頼関係も
損ねちまってる」(46)

 

この発言を、
著者は見逃しませんでした。

わたしは、グレアムの広い額に目をやった。
モーテンソンの暮らしぶりや慈善団体の
運営のしかたには、
どこかおかしなところがあると
彼は見抜いている。

その鋭さに私は胸を衝かれ、
言葉づかいの的確さや、
初参加にもかかわらず堂々と
反対意見を言うところにも感心した。

読書会では、どんな発言にも
読者自身の世界観がにじみ出るものだ。
グレアムの言葉にも
彼の世界観があらわれていたし、
おそらくそこには家族に対する
強い信念が含まれているにちがいない。(46-47頁)

 

 

私も読書会の主催をしています。

 

「まわり」の意見と
全く異なる意見が出ると、
読書会は一気に面白くなります。

 

この「予測不可能性」こそ
読書会なりイベントなりの醍醐味です。

 

 

 

なお。

 

この読書会のあとのくだりが
面白いのです。

 

その月の読書会には
後日談がある。

モーテンソンの話を疑問視していたグレアムの直感が、
読書会からわずか6週間後の
2011年4月に、
大手メディアでそのまま取り上げられたのだ。

アメリカCBSテレビの報道番組「60ミニッツ」が、
モーテンソンの慈善行為には誇張があり、
作品には捏造が含まれていると指摘する
ドキュメンタリー放映した。(・・・)

当時、われわれの読書会では
知るよしもなかったものの、
このドキュメンタリー番組は、
その後2年におよぶモーテンソンの
悲劇の始まりにすぎなかった。

本来なら学校建設に使うべき資金を、
旅行や本の出版関連費用にあてたとする
モンタナ州司法長官の
調査報告書にしたがい、
モーテンソンは100万ドルを
アジア中央協会に返金することになった。
(・・・)

共著者のデイヴィッド・レーリンが
貨物列車に飛び込んで自殺し、
レーリンの家族は、
著作権エージェントを通じて、
本人が鬱病を患っていたことを公表した。(52-53頁)

 

☆疑惑についてはこちらにもまとめられています↓
http://www.newsweekjapan.jp/stories/us/2011/06/post-2127.php

 

恐ろしい結末です。

 

読書会で

「なんか、おかしいよね」

と言っていたことが
大正解だったわけですから。

 

やはり、
人生の酸いも甘いも
経験してきた囚人の
洞察力は深いのだと思います。

そういった点に気づけるのも
読書会の魅力です。

 

一つの本をきちんと読み取ってきているからこその
「建設的意見」がたくさん読める、
面白い本でした。

 

4/22(土)『プリズン・ブック・クラブ』読書会開催!

 

・・・というわけで、
この本を元にした読書会を
4/22(土)21:30-23:00、
札幌市・幌平橋にておこないます!

 

詳細はこちらをごらんください↓

FBイベント

 

 

読書会についての
ノンフィクションを、

読書会で話し合う。

 

・・・今回の読書会、
今まで以上に盛り上がりそうです!

 

『プリズン・ブック・クラブ』読書会(読書会@札幌 第43弾)

【日時】平成29年4月22日(土)21:30-23:00

☆今回は30分早くはじめます。
レモンビールやチェリービールなど
珍しい世界のビールを味わいながら
議論をしてみませんか?
(希望者のみ 500円)

【場所】個別学習塾はる
札幌市中央区南16条西5丁目3-13 住地ビル2階右

【参加料】無料

☆ 本を読んでいなくても参加いただけます!

これまでやってきた
読書会の詳細や読んできた本の一覧は
こちらをご覧ください↓

読書会@札幌の軌跡

 

ではまた!


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