長期履修制度の思わぬ落とし穴
社会人が大学院への進学を考えるとき
「長期履修制度」を選ぶ方は多いのではないでしょうか?
長期履修とは標準修業年限分の授業料で
通常より長い期間在籍できる制度のこと。
たとえば修士課程2年分の学費で
3〜4年掛けて通学することができます。
こうする場合、
1年間に履修すべき授業数を減らせるため
仕事を続けながらも通学しやすくなります。

私自身も4年間の長期履修制度を利用して
北海道大学大学院に通っています。

2年分の学費で4年かけて学修できること、
非常にありがたい仕組みだと感じています。
ところが最近、
長期履修の「落とし穴」に気づきました。
それは何かというと
「入ったいいけれど通えずに中退する場合、
学費負担が意外とかかることがある」
ということです。

長期履修は毎年の学費負担を軽くしてくれる制度ですが、
大学院を途中で退学する場合、
必ずしも「すでに支払った分だけで終了」とはならないのです。
今回は知らないと後悔するかもしれない
「長期履修制度で中退する場合の学費問題」
についてお伝えします!
今回の内容はかなりニッチかつ
ややこしい話なので念のため・・・。
半年で退学しても、長期履修の半年分だけでは済まない?
長期履修で入学し
途中で退学する場合の「問題点」を
ここから見ていきます。
分かりやすいように
通常2年間の修士課程を長期履修によって
4年間で学ぶケースを
考えてみます。
計算しやすいように、
通常の1年分の学費を年間60万円とします。
(国公立大学大学院の場合2026年度は約53万円です)
1年60万円なので、
修士課程2年間の総額は120万円となります。
(実際は入学時に約30万円の入学金が発生します)
総額120万円を4年間で分けると、
長期履修中の学費は年間30万円です。
通常は前期・後期ごとに半分ずつ学費が請求されるので
1年目の前期に在籍する場合15万円の学費を支払う必要があります。

この前提の上で考えていきます。
通常、大学を退学する場合は
支払った授業料分だけで退学することができます。
大学院に長期履修で入学し、
前期が終わる時点で大学院を退学する場合、
負担する学費は15万円だけで済むのでしょうか。
(入学金は除外していますので念のため)
・・・実は大学院によっては
そうならない可能性もあります。
長期履修を途中でやめる場合、
それまでの在籍期間について通常履修の学生として
学費を再計算する大学院があるのです。
今回の例では長期履修を使わずに入学していた院生の学費は
半年分で30万円です。
この場合、長期履修学生としてすでに15万円を納めていても、
退学時に残りの15万円を追加で支払うことになります。
つまり、
長期履修生として少なく支払っていても、
退学の際は通常の学費負担の差額を精算されるわけですね。

1年間在籍して退学する場合も同様です。
長期履修の年額30万円を納めていたとしても、
通常学生の1年分である60万円に再計算されれば
差額の30万円を追加で納めなければならないケースがあります。
結果として、
長期履修では2年分に相当する金額を
1年間の在籍で負担することになります。
「長期履修なら1年間の学費負担は半分になる」とだけ理解していると、
退学時に思わぬ請求をされるかもしれません。
これ、知らないとコワいですね・・・!
大学院によっては退学願を出すだけで退学できる場合も
あるかも知れませんが、
必要な学費を納付しないとそもそも退学できないケースがあると
知っておくほうがいいですね・・・。
実際、筑波大学大学院や福岡工業大学大学院では
長期履修学生が途中で退学する場合、
在籍期間に応じた通常の授業料との差額を納める必要がある、
とサイトに書かれています。
退学する前に、取れる単位を取っていたほうがいい!
ここまで長期履修制度の思わぬ「落とし穴」について
見てきました。
退学時の学費負担、
まだ受けていない授業の分まで請求される事があるということ、
知っていたほうが役立ちますね!
もし退学するために通常学生と同じ学期分の学費を払う必要があるなら、
退学日を急いで決めないほうが良さそうです。
退学しても単位は無駄にならない?!
「退学したらそもそも取っていた単位が無駄になるのでは?」
そう思う人もいるかも知れませんが、
退学してもそれまでに履修していた単位は無駄になりません。
再度別の大学院に入学した場合、
一定の手続きを経れば卒業単位に参入できることも
実際にあるからです。
なのでどうせ学費を支払う必要があるなら
取れるだけ単位を取って退学するというのも
あり得る考え方だと言えます。
「長期履修の退学ルール」は大学院によって違う・・・!
ちなみに、調べてみてわかったのですが、
長期履修学生が途中で退学するときの学費に関してのルールは
大学院によって大きく異なっています。

なので、
細かなルールについては
ご自身の大学院の窓口に聞いてみたほうがいいですね・・・!
個人的にはこの辺り、
統一的なルールを定めてほしいと思っています。
そして可能であれば長期履修として支払ってきた学費分「だけ」で
問題なく退学できる仕組みにしたほうが
ルールとしてもわかりやすいと思います。
退学時に「追加学費を支払ってください」と言われても
困ってしまいますし・・・。
入学前に「やめる場合」まで確認しておこう!
長期履修制度は、社会人が仕事と大学院を両立し、
進学の可能性を広げてくれる素晴らしい制度です。

一方で、仕事や家庭の事情・健康状態などにより
予定どおり続けられなくなることもあります。
そのとき、退学するために想定外の学費が必要になると
精神的にも経済的にも大きな負担になるかもしれません。
なので長期履修制度を使っての進学をする場合、
可能であれば大学院の「長期履修規程」や「授業料納付規程」などを
確認しておくといいでしょう。
大学院の事務担当の人に質問してみるのも
良いですね!
(聞き方としては、
「長期履修学生が前期末、または年度途中で退学する場合、
授業料は長期履修の金額のままですか。
それとも通常授業料との差額や、年額の残額を支払う必要がありますか?」
と聞くといいと思います)
いまキャリアアップのため、
大学院へ進学する社会人が増えています。
だからこそ、入学後に「こんなはずではなかった」と感じないためにも
長期履修時に「退学」する際の学費ルールについて
調べておくのがオススメです!
とてもニッチな情報ですが、
ぜひ役立ててみてくださいね!

☆ちなみに私・フジケンは
『なぜ社会人大学院で学ぶのかⅢ』において
長期履修制度についての論考を書いています。
よければお読みください↓

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社会人の大学院進学に役立つ長期履修制度。2年分の学費で3〜4年かけて学べる一方、途中退学には思わぬ落とし穴があります。大学院によっては退学時、通常履修の場合の授業料との差額を【追加】で納める必要があるのです・・・。なので長期履修を検討する際は、入学時だけでなく「途中で退学する場合の学費ルール」まで確認しておきましょう!